小笠原諸島紀行・2004

小笠原諸島(父島)紀行   2004年5月1日~5月6日

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5月1日

 午前10時、小笠原丸,定刻に竹芝を出航。ベイブリッジをくぐり進路を南に。コーヒー色の東京湾も、房総半島を過ぎる頃には、本来の色に。傍らを貨物船やLNG船、潜水艦、ホーバークラフト等、東京湾内はまるで船の展覧会のよう。

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所属する会のメンバーは総勢22名。久ぶりにお会いする方もいらっしゃる。船底に近い部屋(25名定員)を借りきる。OさんとHさんがリーダーである。
 港を出てからデッキで眺める。風が心地よい。
デッキでH氏とお話。彼も定年を迎え、世界各地へ出かけている由。助言をいただいた。それは思い立ったら行かれるうちに出かけたほうがいいとのこと。エベレスト街道を薦められた。(往復20日間ほどかかるが)

13時過ぎ、外洋にでたのか少し揺れ始める。酔い止めをのんでおいた。
小笠原丸は6千トンの大きさだが、見た目は小さくやや心もとない。
22名は船室(広さ20畳ほど)にザコ寝する。

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 今回のツアーは、本会では最も長い6日間。小生も日程をやりくりしての参加。
定年を迎えたので今回参加できたこと、現役時代にはなかなかできなかったことであり、こういう機会をいただいたことに感謝したい。
 17時30分 三宅島沖(見えないが)に達しているもよう。
 上天気のなか、風はけっこう強いが船は快適に進む。
 気温は20度をゆうに越え、暖かい。黒潮本流の真只中だろうか、海水はラムネ色、透明感がある。船速は22ノット。船室で一眠りした。腹がすいた。カップヌードル(カレー味、200円)を食べる。おいしかった。

 17時55分 西に傾いた薄日が差す。波やや高く、デッキにしぶきがかかる。八丈島の近くを通過しているも、島影は確認できない。携帯も圏外になってしまった。乗客も船室にいるもの、デッキでゴザを敷いて、寝る、酒盛り、トランプと様々。

夕食は食堂で18時から。(むろん有料)。
定時オープンの食堂は長蛇の列。(今日の船には約800名の客が乗っているという)
食後、船室(大部屋、会が借り切っている)には会員が三々五々集まり宴会が始まる。
小生にとって違う世界を生きている会員の方々とのおしゃべりは楽しみの一つ。
皆それぞれの思いを持って生活している。(当たり前)。
午後9時近くなる。揺れはさっきより穏やかになってきた。夕日は曇り空のため見られず。同じ部屋にトランプも始まり賑やか。

 今回の会の活動への参加は、熊野古道以来3年ぶり。
この三月に定年退職、再任用として都教職員研修センターに勤めているが、現場にいたときより自分の時間が取れるようになり、有難い。

午後10時消灯。部屋の入り口、廊下を除いて暗くなる。ザコ寝に近いがむろん寝るスペースはある。毛布2枚の間に入って眠る。船は少し速度を落としたのかエンジン音は静か。揺れは少しあるも寝やすい。

5月2日 

朝、5時過ぎ目が覚めた。デッキに出ると既に日は昇っている。快晴。うろこ雲が空に浮かび、秋の空みたい。小生、周りがすべて海、船影もない海の航海は始めて。
地表の7割が海水に覆われていることを実感。海の色は、昨日と違ってエメラルドグリーンに変わっている。
 船は黒潮の本流を横断し、南海域に入ってきた。海も、空も、風も本州のそれとちょっと違う感じ。
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午前9時頃より、小笠原諸島の最北端の婿島諸島が見え始める。遠くからは一つの島に見えたが近づくといくつかの島々からなっていることが分かる。
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さらに30分後には父島が見え始める。
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午前10時20分過ぎ、父島二見港に接岸する。会の総勢22名全員元気。港に接する丘には枕状溶岩からなる崖が見える。港近辺の地形も火山地形の特徴を示している。
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上陸後、宿の迎えの車で宿へ。さすが日差しも強い、気温も26,7度近いのでは。しかし湿度が低く爽やか。沖縄の風土に似ている気がする。

 宿(たつみ電話04998-2-2755)で荷物整理後、昼食に。宿の若だんなが港近くの食堂を紹介してくれた。食堂は数軒ある。
食事の内容は、「島すし」1000円。
さわらを醤油につけたすし。美味。会のメンバーは亀(あおうみかめ)の煮付けを試食した方もいる。小生は遠慮した。
お店の手伝いに中学生のお嬢さんが手伝っている。しっかりした娘さん。店の主人の人柄がしのばれる。

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 午後は夕食まで自由行動。小生は小笠原高校(表敬)訪問。二見港港背後の高台にある高校へ。職員室には主幹と若手の先生の二人がいらした。教頭さんが恐縮にもわざわざいらしていただけた。元気のよい方。

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  早々に高校に暇をし、清瀬から釣り浜、宮之浜のハイキングコースへ。兄島との間にある海峡を見ながらのコース。きれいな海、うぐいすや他の小鳥がさえずり、日差しは強いがすがすがしい5月の風、クルーザー等が眼下の海を通る。
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宮之浜では水遊びのカップル。宿への帰りの道で都内から移り住んだご婦人と立ち話ができた。このすばらしい環境に惚れて移り住んだとのこと。年金で十分暮らしていけるとのこと。
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 16時30分、宿(たつみ館)着。さっそく風呂へ。(肝心の代えのパンツを忘れてしまった。明日コンビ二で買う。今日はひとまずそのまま)
  18時夕食。宿のおばさん(70近い)が質素だ地ものを中心としたおかずを用意してくれた。
おかずの内容は、しかく豆、八丈のさといも、あかめの味噌汁、かじきまぐろの刺身、同焼き物、パッションフルーツ。等。ビールもうまかった。

19時15分よりナイトツアー。忙しい。
小笠原ナイトツアー(@3000)
 夜の小笠原も見所が一杯です。
 夜の森ではほのかに緑に光るキノコ「グリーンペペ」や天然記念物に指定されている固有種の「オガサワラオオコウモリ」が飛ぶ姿も見られます。海辺では夜行性の生き物(陸ヤドカリ)に出会うことができます。
 グリーンペペ、オガサワラオオコウモリ、陸ヤドカリ、等の観察をする。

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グリーンペペ

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陸ヤドカリ

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オガサワラオオコウモリ

 十二夜の月明かりの元,車の故障があったが、親切なガイド氏で、夜10時近くまでツアーが続いた。少々くたびれた。
  月明かりのため、快晴ではあるが星空観測は明るい星のみ。金星が大変明るい。
北斗七星から探した北極性はさすが低く、北の地平線のちょっと上にある感じ。こんな低い北極星を見たのは初めて。月の近くにありながら白鳥座のデネブがよく見えた。
22時すぎ就寝。

5月3日( 快晴 )

今日は各種の野外観察。
ガイド氏によると海岸、植物、ツツジヶ岳登山を予定しているとのこと。小笠原固有のツツジが一株あり、そのために特別保護区域を設けているという。
海岸では昨晩夜間観察で陸貝等の観察海岸。海岸で容易に見つけられるめのうを採取。
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また漂流物(小さい物)を採取。最も多いにはプラスチック類。それもペレットが多い。魚類がこれをえさと間違えて飲み込むという。
 ペレットの化学物資が魚体中に溶けだして結局は人の体に入ってくるのではという。
 私が驚いたのは何故、ペレットの形で漂流してくるかとの疑問。ガイド氏によると廃棄物ではないかという。
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 小港湾では見事な枕状溶岩を見ることができた。るいるいとした径数十cmから1,2mのものが積み重なっている。波の侵食によって玄武岩質の皮に覆われている部分が洗われ、枕状溶岩の内部がよく表れている。その一部には海岸で観察されためのうのかけらが見える。
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小港湾全景

 父島南西部に位置するツツジ山(300M弱)は亜熱帯の山である。麓は開発で外来種の植物も分布しているが中腹以上は亜熱帯特有の植生になっている。
  山体は角レキ岩を主体とした火山岩。とことどころ尖塔状の岩体があちこちに見られる。頂上はむろん途中の道も海岸、太平洋が見渡せ気持ちのよいハイクができた。
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頂上には固有種のツツジ(ムニンツツジ 白)が満開。何本か接木して増やしているところという。
まる一日よく晴れて快適な一日であった。
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なおツツジ山周辺は、将来、空港が予定されているとのこと。特別天然記念物の植生地域であるためどうなるかとのこと。(後になって、空港建設は中止になった)


夕食後、今日の行動の情報交換で別の班の宿泊所へ。小生も小笠原諸島が大洋の孤島である生い立ちについて説明を求められた。

(参考)
※小笠原諸島の形成
 形成開始当初の小笠原群島は、現在のニューギニア付近の赤道直下にあったと火山島群と推定されている。その後フィリピン海プレートに乗って少しずつ北西方向へと移動をしていった。そして群島は約3000万年前からは北西から北東方向へと移動方向が変わり、現在の位置に到達したらしい。

 帰りの道の途中にある大木を利用した居酒屋でビールを飲む。よく冷えていてうまかった。10時半就寝。
 本州は発達した低気圧のため、大荒れ。それに比して父島は青空。本州の天気が大陸や海洋、ヒマラヤ山系に影響をうけ、中緯度のものであることを実感した。
 明日は今日は鯨観察。たのしみ。

5月4日( 快晴 )

 穏やかな南の風、好条件(本州は発達した低気圧の影響で全国的に大荒れ。東京も風速20Mを越したとのこと)
朝9時、二見港からクルーザー、ピンクドルフィン号(30人乗)に乗る。船長(出身はハワイとのこと)以下2名。船はジェット推進の高速船。
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そのまま沖合いに出ると幸運にも親子の鯨(ザトウクジラ)に出会う。
子どもクジラがが海面上に飛びはねたり、尻尾を出して深くもぐったり、30分近く彼らの近くで観察できた。
クジラ観察はわが艇の他5,6隻が近くで見守っている。クジラはやはりそれらの船から遠ざかるような動きをする。船団はクジラを追う動きになる。
もぐった後、次の浮上はどのへんだろうか、全員で息を潜めてあちこちの海面を見やる。
 浮上して水を吹いたり、背中を水面上に出したり、飛びはねたりすれば、見物人からはどよめきや拍手が出る。愉快だ。
 小笠原のクジラはその多くがすでに北の海に戻り始めており、そろそろ最後の仲間であろうとのこと。子連れのクジラは、北へ帰る体力をつけるために最後になるという。
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 その後父島南島に向かう。途中イルカ数頭に出あう。海に入って彼らの近くで泳ぐ会員もいる。クジラ、イルカと早々に観察でき、運がいい。

その後南島上陸。大潮のため、入り江の入り口はせまく、船長は波のようすを見計らって、エンジンをフルスロットルにしてダッシュ。無事入り江に入る。はしごを岩に渡し、島へ上陸。 
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 南島は父島の南にある小さな島。しかし、風景はさんご礁の砂、海蝕洞、外の海から見えるの単調な風景とは違う、美しい風景が広がる。

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この状態を保とうとi石原都知事も規制を強くする意向とのこと。
 砂浜に行く途中には数千年前の絶滅種の無数貝が砂に埋もれている。
 海蝕洞の前の入り江で水に入るがまだ水温は低く、長くは入ってはいられない。

 南島を後に、兄島へ向かう。もとクジラ解体場があった浜辺に上陸。ピンクドルフィンが用意してくれたパンの昼食。のんびりとした一時をすごす。
 昼食後兄島前の浅瀬でボートから水中観察。えさ籠を水中に下ろし、寄ってくる魚をボートの底のガラス窓から眺める。
うみへびらしきものもたくさん集まり興味深い。

午後も3時を回り、ひょうたん島等を経由、帰りへ。
 船長がクジラを見つけ、今日2度め。午前とは個体が違うとのこと。30分近く観察。2頭そろって尾ひれを見せ潜っていった。尾ひれを高く上げてもぐる時は深くもぐるのだという。
 皆おおいに満足したようすで帰島。船足は速く、船首部に陣取り、気持ちのよい風を受けながら二見港へ。

 夕食はしま寿司。おいしくて二人分はあろう量、宿の人の心遣いがうれしい。そして宿特製のアオウミ亀の煮付けも美味。加えるに昨日のツツジ山トレッキングの帰りに摘んできたわらびもやわらしく美味だった。

5月5日 ( 快晴 )

 朝食後荷物を一部屋にまとめて、小港湾へ海水浴へ。宿の若旦那が車で送ってくれた。よく世話をやいていただき頭が下がる。
 海岸は二日めに野外観察ハイクで寄ったサンゴからなる美しい遠浅の海岸。本州の関東の海を普段見なれているものとっては、別天地。
  88時半ころ現地についたが、人は誰もいない。まるで会専用のプライベートビーチのよう。水は少し冷たいが5月早々に海水浴。
 隣のビーチ(コペペ)につながる磯を歩きながらサンゴやうに、イソギンチャク、ナマコ等、総天然色の生物を見る。

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 10時35分の村営バスで宿へ戻る。外の水道で体を洗う。
宿のおばさん、若旦那に礼を言い、昼前、二見港港へ向かう。
 昼食、買い物後、おがさわら丸に乗船。大勢の見送り(宿のおばさん、若旦那も見送りにきてくれた)と南国おどりに送られ、満員の乗客を乗せて定時出航(午後2時)。

 出航後、港の外まで、10隻近いレジャー船(ピンクドルフィンも含む)が、おがさわら丸に伴走して見送ってくれた。実に壮観な歓送風景。生涯忘れない光景だ。
 その最中に見送り船の向こう(兄島側)にクジラが一頭、汐を吹いた。まことに印象深い。
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  船室(来たときと同じD2部屋)で昼寝。やや狭いが会貸しきりの部屋なので気兼ねがなくよい。
午後6時過ぎ、日没。水平線低くに雲があるため、あいまいな日没。
 夕食はコンビにで買ったおにぎりとカップそばですます。シャワー(快適)を浴び、船室に。

22時消灯まで、飲み助は残りのコニャック、ウイスキーで懇親。一方ではトランプ。消灯後就寝。翌朝になって前線の影響か揺れだす。うつらうつらながらも寝られた。

5月6日

  揺れは相変わらず強い。昼近くまで横になっていた。酔い止めを飲んでいたので、少し気持ち悪くなった程度ですんだ。
 昼近くシャワーを浴びさっぱりした。

 今回の会主催による小笠原紀行は、小生にとっても大変貴重な機会であった。
定年後、初の長期旅行。気持ちを切り替えるきっかけともなった他、気心知れた方々とともに、人の手があまり加わっていない小笠原の大自然のなかに久しぶりに身をおき、開放感と爽快感を十二分に味わうことができた。
 島の観光客をもてなす態度、島の方々の素朴な生活にも思うところがある。小笠原高校への訪問も興味深かった。

 今後、島のあり方を巡って、開発か保護か当然考えが分かれるだろうが、石原都知事は当面保護に力を入れるという。延々、一日かけて辿り着く地があってもよいと思う。
 今の交通事情から来島できる人は限られているので、その考えでは大筋ではよいと思う。東洋のガラパゴスはおおげさではあるが、やはり固有種が数多く残っているこの島の自然は今の時代となっては貴重である。
 弱い北東の風曇り空、時折薄日が差す肌寒い東京港に戻る。
 予定より10分早く午後3時20分、竹芝桟橋着。会員、全員無事。
 3時10分、D2船室で最後のミーティング。
 会の皆さん、大変お世話になりました。御礼申し上げます。

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